|ホーム|関連動向|学会近況|横断追跡|イベント|事例広場|知的財産|文献案内|Q&A| | ||
Q&A | ||
---|---|---|
ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝 | ||
>> 連載目次 |
第6回 欧州でビジネスに成功をもたらす4つの要因 |
ジェトロ在欧州事務所及び欧州ロシアCIS課が作成し、公表した調査レポート「欧州の新ビジネスモデルを探る」(2011年4月)では、財政危機などの影響を受け、景気回復が遅れている欧州にあって、自社の強みを生かして積極的にビジネスを展開している進出日系企業や欧州企業を紹介し、欧州で成功している8社にインタビューした結果として、@ワンストップサービス、Aコスト削減に寄与するサービス、BM&Aによる販売ネットワークとブランドの入手、C他社を圧倒する優位技術、という4つの成功要因を提示した。以下は同調査レポートの「総論」部分からの興味深い抜粋である。 成功要因@ ワンストップサービス 従来業務に加え、提案・改善サービスを提供することでワンストップサービスを行い、顧客の利便性を高めている企業がある。 マイティーは、オフィスのゴミ回収にとどまらず、資材調達時から包装を省くなどごみそのものを減量する提案や、コンプライアンス強化に対応する情報漏えい防止の書類処理サービスも行っている。グローリーは銀行に紙幣入出金機を単体で納品するだけでなく、各行の独自インターフェースの開発サービスも提供しており、銀行との信頼感醸成に成功している。アンリツはルーマニアにソフトウエア開発拠点を開設。西欧と時差の大きいインドよりも、時差が1?2時間しかないルーマニアは、西欧に適時にサービス提供できる優位性があるとしており、顧客の利便性が高い。将来的には同拠点から、西欧だけでなく世界各国に対して開発・サポートを提供したいと計画している。 成功要因A コスト削減に寄与するサービス 景気低迷の影響もあり、企業にはスリム化した経営が以前にも増して一層求められており、コスト削減サービスにビジネスチャンスがある。 イタリアではコスト削減の観点から、銀行員を減らして機械化を進めている。グローリーの紙幣入出金機は銀行の合理化競争に寄与している。 マイティーは、金融機関のコスト削減意識が高まり、オフィス管理費用を見直すところが多くなったことで、金融危機後にもかかわらず受注を伸ばしている。 |
成功要因B M&Aによる販売ネットワークとブランドの入手 競合する企業の買収や合弁会社を設立することで、メリットを獲得する企業も少なくない。円高ユーロ安の為替相場も後押ししているのかもしれない。 アシックスは北欧のトップブランドを買収したことで、それまであまり取り扱っていなかったアウトドア用品やウィンタースポーツ用品などを手にし、品ぞろえの強化に成功している。 NPCはドイツの競合会社を買収することで、買収先の強い販売ネットワークを手に入れた。 成功要因C 他社を圧倒する優位技術 ユニクロは商品の品質だけでなく、スタッフの接客術の品質を高めることに注力しており、ほかの店との差別化に成功している。同社は、欧州のサービススタンダードを変えるくらいの気概を持ってやっている、としている。東レは世界の炭素繊維生産の4割を占めている。同社はダイムラーと炭素繊維複合材料(CFPR)製自動車部品の製造・販売会社を設立、ダイムラー向けに部品の供給を開始する。グローリーの防犯技術は非常に高い。銀行では同社製品が導入されていることを示すステッカーを貼り、強盗が押し入っても金を奪うことはできないとアピールしているほどだ。 日揮は設計・機材調達・施行(EPC)ビジネスで培った技術や知見が認められ、日本企業としては初めてスペインの総合新エネルギー大手と商用太陽熱発電の協業を実現した。今回はファイナンス協力を中心とした協業だが、今後は同社の強みであるプラント建設技術が期待される。 欧州で成功するビジネスモデルはさまざまで、上記4つの要素はあくまで一例だ。近年まで欧州ビジネスは拡大と深化への対応が主流だった。しかし景気後退面では、環境など新分野へのチャレンジや、限られた需要を新しい高付加価値技術やサービスで獲得していかなければならない。 |
|
詳細は同調査レポート http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000608/new_business_model.pdf |
>> ビジネスモデル「探険」談 連載目次 へ |
|
|利用規約|免責事項|お問合せ|個人情報|編集後記| | ||||||||
Copyright(C)All Rights Reserved |