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ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝
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第53回 「空飛ぶクルマ」をめぐるある記事を読んで


 実に興味深い記事だ。タイトルは「すでに見えつつある“空飛ぶクルマ”のビジネスモデル。グローバルの最新事情とは」であり、記事の全文はこちら(By NEC wisdom)で読める。「『飛ぶクルマ』は移動の新産業を創りだす」と日経BP社の望月洋介氏(技術メディア担当)が述べられているように、昨今、飛ぶクルマに対する世の中の関心の高さはいうまでもない。

 同記事は、「空飛ぶクルマ」の実現を目指す動きが、世界中の国々で進んでいる。学術団体AHS Internationalの報告によれば、100社以上がコンセプトを発表。独のボロコプターや米のコーラようにパイロットによる試験飛行に入っているものもある。・・・もはや夢物語ではない空飛ぶクルマの実用化は急速に進んでいる、という。やはり一般人も、このような話題に惹かれる可能性は高いだろう。

 もちろん、とくに自動車業界及びその関連業界の方、とくに技術専門家の方なら、おそらく「電動モーターを主動力とする垂直離着陸機」とか、「リチウムバッテリー」とか、「小型ドローンと干渉しない150m以上の空域」とか、「娯楽用/自家用で150km/h、商業用は200〜300km/hの高速移動が可能」とか、などの説明や紹介にまず目が行くかもしれない。



   
          
      

 では、ビジネスモデルの観点から読んだときにどのようなことを感じうるのか。「すでに見えつつある“空飛ぶクルマ”のビジネスモデル」というタイトルがつけられているので、そこでいうビジネスモデルとはいったいどのような内容なのか、自然に気になるだろう。もちろん、同記事は教科書的な文献ではなく、いわば一記事なので、何かのビジネスモデルの定義(考え方)に沿った具体的な説明はしていない(のも自然である)。

 そこで、全く熟考した深い見解ではないが、筆者のとくに留意するところについて少し述べよう。筆者はよくマーク・ジョンソン氏によって提唱されている「四つの箱」説、すなほち@顧客価値提案、A主要業務プロセス、B主要経営資源、C利益方程式といった考え方を視座にしつつ、競争戦略、マーケティング、イノベーションのアプローチも加えながら、ビジネスモデルについて考えよう、としている。

 この四つの箱という考え方から同記事を読むと、たとえば、「米国では、エクストラコスト(追加費用)を払ってでも優先的に移動したいという人も多い」ことや、「異なる移動手段を一つの手配決済アプリで組み合わせることで、ユーザの利便性を大きく高める」ことなどは、いわば「顧客への価値提案」にあたる内容であり、空飛ぶクルマのサービス化を目指すUberは、自社で自動車やドライバーを抱えているわけではない、という「主要業務プロセス」を空飛ぶクルマのサービスに転用するのも連想されよう。あと、「主要経営資源」や「利益方程式」にあたる内容も程度の差はあるが、記事の中から読み取れるところもある。

 「ユニークな飛行方法や流麗なデザインで多くの人々の関心を集める『空飛ぶクルマ』」をいう同記事は、グローバルの最新事情を紹介しながら、「無人運転や遠隔操縦も技術的には可能だが、規制や許認可の問題から実現は10年後と予想される」ともいう。いま、“空飛ぶクルマ”のビジネスモデルはほんとうに見えつつある、と言えるのか、筆者的には、これに一層の関心を持つことになったのは確かである。


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