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ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝 | ||
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第41回 日本におけるビジネスモデル研究の現状と私見 |
ビジネスモデル(Business Model )という用語は、1990年代中盤から後半のIT(Information technology)の発展に伴って広く米国で普及した(Mahadevan,
2000)。日本においても、2000年10月にビジネスモデル学会が発足された頃から注目が集まり、実務界をはじめ活発な議論が見られ、ついに学界においても多様な研究成果が発表されるようになった。 しかし、ビジネスモデル論に関する研究はいま、全体的にどのような状況にあるのか、どのような方法で展開しどこまで到達しているのか、研究と実務とのつながりはどのように表れているのか、どのような課題が存在するのか、これらに関する全体的レビューはほとんど存在しない。 そこで、筆者は、過日、2001年から2016年6月現在発表されたビジネスモデル研究関連の論文から128本の論文を抽出し整理し、「日本におけるビジネスモデル研究の現状に関する序説的考察― 事業構想の視点を踏まえて ―」を執筆した。ビジネスモデル学会論文委員会にての査読を受けてBMAジャーナル9月号に会員向けに掲載されたが、3カ月後のいまは一般向けにも公開になった。 |
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現在までの研究内容には、以下に述べる三つの特徴があると言えよう。 第一に、議論の複層化である。なぜビジネスモデル論が必要かという「背景論」と、ビジネスモデルの在り方についての「本体論」と、ビジネスモデルの関連要素まで広げる「周辺論」がある、というように分けるのもあれば、あるいは、特定の事例についてどのようなビジネスモデルかという「分析論」と、ビジネスモデルの内的構成を考える「要素論」と、比較的に少ないが、いかにしてビジネスモデルを構想していくかという「構築論」というように分けるのもありうる。このように複層化されたビジネスモデル論はビジネスモデル研究の多様化をもたらしている。 第二に、対象の多彩さである。発表された論文は、まず業界的には、製造、小売、コンテンツ、農業、物流、サービス、自動車、ネット、移動販売などに、次に国(地域)別的には、日本のほか、米国、中国、フランス、台湾などに、そして企業的には、大手企業、中小企業、ベンチャー企業、下請け企業などに、最後に事例的には、航空会社、ヤマト運輸、トヨタ、楽天、AKR、武田薬品、東海バネ工業、加賀屋、大丸百貨店、デル、ハリウッド、グーグル、インテル、半導体企業などに及んでいる。 第三に、研究の時代感である。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)などが注目されてきているのはもちろん、門間敏幸・納口るり子(2008)「企業的農業経営のビジネスモデルと農業経営学の新たな挑戦」『農業経営研究』をはじめ、農業経営についての研究がこれほど展開されていること、北山晴一(2011)「食文化研究から見えてくるもの:グローバル化の中のフランス型ビジネスモデル」『異文化経営研究』というような独特さも感じられる研究のこと、倉島千徳(2014)「専門科目から実践的演習へ展開〜起業ビジネスモデル演習の取組み〜」『KIT Progress』といったビジネスモデル教育についての研究が存在することは、若干意外にも時代感を感じる。 |
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