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 Q&A


ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝
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第28回 食文化に貢献するビジネスモデルの今後


 「食における豊富な話を伺うことができとても有意義なセッションだった。」
 「発想がユニークであり、目からウロコの話だった。」
 「普段、食に無関心だったので全ての話が新鮮で楽しかった。」
 「例示に富んでおり大変興味深く拝聴した。」
 「食に関する具体的なビジネス例を聞くことができた。」
 「経験知をどう科学するかが食品工業では大切であることがわかった。」
 「食の形式知化への多様なアプローチ、知恵の使い方を興味深く教えて頂いた。」

 2014年9月8日夕方、霞ヶ関ナレッジスクエアエキスパート倶楽部にて開催された第17回イブニングセッション、「『食に豊富に存在する暗黙知』の活用による新たなビジネスモデル~食文化に対する文明的アプローチ~」に対し、参加者はその後のアンケートでそのように高評した。

 ところで、食文化といえば、1969年9月に創業され、「おなかいっぱいの幸せを」を謳っているイートアンド株式会社が浮かんでくるだろう。同社は、「美味しさの追求の本質は、単に食べ『モノ』や『サービス』の提供にとどまりません。『食:EAT』を通じ五感で感じるさまざまな感動や喜び、生活のあり方、働き方、あそび方、自然や都市への関わり方が『真の幸せ』につながります。」とし、「私たちは単におなかを満たす『食:EAT』の提案だけでなく、日常の生活食文化に貢献する+『&』を創造します。」というのを基本的発想としている。

 同社のビジネスモデルについて、以下のように述べている。すなわち、主要ブランド「大阪王将」を基軸に、一般消費者、量販各社、加盟企業など、外食と食料品販売の両事業において、全国的かつ多岐にわたるお客様に商品とサービスをご提供する。同ブランドの主力商品である餃子をはじめ、各種製品を開発、自社工場で製造し、両事業がそれぞれ拡販に努めている。また、両事業が連携を図ることで相乗効果を生み出すとともに、消費動向などに対して相補的に機能する形が当社の強みであり、経営戦略の核になっている。

 同社は生活食文化を提案する総合フードサービス企業として、国内外において展開され続けている。


 

 出典:イートアンド株式会社

  ところで、日本初の飲食店検索サイトを立ち上げたのは1996年である。ネットベンチャーの起業家と言えば若者が多かった時代だが、いまはだれでも一度はお世話になったことがあるかもしれない「ぐるなび」の創業者、滝久雄会長は当時56歳だった。

 「レストランから販促費をもらい、ぐるなびが自社のサイトで紹介する事業モデルによって、従来は駅前や1階という立地が集客の重要な要素だった飲食店業界の価値観は一変した。ぐるなびは、住宅街にあるレストランは「隠れ家的な店」と紹介。地上7階にある居酒屋なら「宴会にもってこいの激安の店」と訴える。今まで人目につきにくかった飲食店に、お店を探している新規顧客を誘導することに成功した。」(佐々木明子、日経ビジネス)これは、食文化の発展に対し側面からの力強いサポートになった。

 そして、食文化に貢献するビジネスモデルの今後はどのようになっていくのか。冒頭でいうイブニングセッションの講演者であり、株式会社FBTプランニング代表取締役、農学博士、九州大学、高知大学、沖縄大学、事業構想大学院大学客員教授でおられる、久塚智明氏は次の要旨で講演された。

 すなわち、「我々が毎日栄養素を取り込む食においては、その食品原料にも、調理・加工にも、保存法にも、そして、どの様な商品設計にするかも含め、多くの暗黙知と形式知が存在している。故に、主婦もシェフも、メーカーも流通も知恵を出し続ける中、古来よりの食が形を変え、新たな価値を付加される事により、今後も新たなバリューを生み出す事となる。」のである。

 イートアンドも、ぐるなびも、今後の食ビジネスをめぐる新たなビジネスモデルも、事業特性や顧客価値などを踏まえて、多様な形で進化していくだろう。


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