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 Q&A


ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝
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第26回 ビジネスモデルとイノベーション


 2014年7月16日夕方、東京新丸ノ内ビル10階、東京21cクラブの会議室にて、日本ベンチャーキャピタル協会主催のワークショップに、お招きを受けたビジネスモデル学会運営委員の一人として参加し、「システム思考×デザイン思考」を体験した。ちなみに、私の名前は「あいだ」と言い、当チーム名はなんと「美男美女」と名付けた。何も飲んでもいないのにかなり酔っているのではないか、と思った。

 知っている方も居られるかと思うが、「システム思考×デザイン思考」とは、いわばいまの時代に強く求められている「イノベーション思考法」の一つである。これは、複雑に絡み合い容易に解決できない問題に対し、ひとつのシステムとして企業全体、社会全体の視点から解決策を考えることであり、論理的思考と五感による思考それぞれの長所を組み合せ、一人で考えるのではなく多様な人との協働の中でイノベーティブなアイディアを生み出し、大きなビジョンを描き、新たな価値を創造することをめざす思考である。

 前野隆司先生(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科)の講演の後、複数のチームによるディスカッションの展開、報告、交流といった流れであったが、それぞれの業界や職種、年齢で来られたチームのメンバーはほとんど初めて会っても、自然に楽しく参加できたと喜ぶ。

 
 (左)東京21cクラブ一角  (右)「美男美女」チーム

  筆者は以前、「活きるビジネスモデルの底流を探る」という講演の中で、「活きるビジネスモデルを深耕する際の着眼点は、@出発点、A設計図、B生命力、という三つのところである」とし、その「B生命力とはビジネスモデルを活かす(動かす)要素としての戦略、イノベーション、マーケティングである。」と提言している。イノベーションはビジネスモデルの生命力を維持する源泉であると考える。

 このような認識から、ビジネスモデルを考える際には常にイノベーションという視点を大切にしており、実際、「システム思考×デザイン思考」はビジネスモデルの構築についてだけではなく、競争力のある製品開発や組織の活性化など、私たちが日々直面している、複雑に絡み合った問題の解決策を、全体最適の視点から導き出す思考力・発想力を鍛える、と提唱されていることに共感している。

 ビジネスモデルでいう「モデル」は時に「見本」と理解される場合がある。これは大きな誤解かと筆者は従来から指摘している。見本だから、見本の通りにすればうまく行くとか、見本だから、出来上がったらずっと生きていけるとか、と期待されるときもあるが、これには無理だろう。見本ではなく、仕組みの「構造化」であるので、不断のイノベーションを通じて独特なビジネスモデルの進化を求め続けるべきだろう。


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