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ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝 | ||
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第24回 新しい健康科学とビジネスモデル |
2014年1月28日夕方7時、霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部にて、ビジネスモデル学会主催第13回イブニングセッションとして、東大名誉教授・東京農工大教授の跡見順子(よりこ)氏の「新しい健康科学の考え方ー身体をつくる細胞と制御する脳、適応・進化から考える」という講演がなされた。 ビジネスモデルを考える会なのに、なぜ、健康科学の話なのか、一体どのような関連性があるのか。普段、何事に対しても比較的にそれほど固く考えない筆者も、一瞬理解不能?な状態に近く思ったが、参加者からの感想等を読むと、いつもと同様な示唆が得られる楽しい会だったという。 参加者の1人である今村新さん(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム、シニア・モバイルシステムコンサルタント)は、細胞科学の面白さ、動物細胞の持つ深遠な力に驚嘆させられることから、「今回の講演は、日頃のビジネスで凝り固まった頭を柔軟にするとても楽しい講義をして頂いた」と言い、「自分の細胞ってスゴイのだということに気づき、元気が出る講演だった。」と高評する。 今村さんがメモした同氏の講演要旨の何点かを以下に転載しよう。 ・健康な体で長生きするには?そもそもに戻って、身体(からだ)をつくる細胞と制御する脳、その適用と進化を考えることから始めるべきである。 ・ゲノム(DNA)解析の研究成果から、何でもゲノムで決定しまうといった論に偏った一般常識が流布しているが、DNA配列で自分の体が全て決まってしまうという考え方は間違い。DNAに欠損が有る方でも、それを修復する細胞のメカニズムで、一般の方々より、長生きすることも実証研究されている。 |
(左)参加者が熱心に聴講中 (右)講演を臨む跡見氏 |
・欠損したDNAを補修する細胞のしくみとは、適度なソフト・ストレスからストレスタンパク質」を作り出す力を持ち、動的で不安定な細胞同士が「細胞骨格」で自身を保ちながら、ストレスタンパク質の力で他の細胞とつながり、お互いに呼応してストレッチし合うことで、外的ストレスに適応し欠損した機能を補完修復していく。これらと同じようなしくみにより、長い歴史の間で、細胞自体がストレスへの適用をして、「からだ」そのものが進化を遂げてきた。 ・ここで注目すべきことは、組織が先に有ってそのための細胞があるのではなく、「細胞自体が組織を後から作っていく」というメカニズムである。その細胞自体が健康であるためには、このストレス=ソフトなストレッチ(運動)が継続的になければいけない。ストレスが無い状態、もしくは、ソフトではないハードな局所的なストレスが続くと、細胞はやる気が無くなって固くなる。これが「老化やガン」であり、アルツハイマーである。 このような講演要旨から、勝手に連想してしまう。ある意味で、そのような話はビジネスモデルの進化論にも当てはまる部分が存在するのではないか、と思う。筆者的には、今回の講演には二つの意味がある、と考える。その一つは、マーク・ジョンソン氏がいうビジネスモデルの「四つの箱」論からいえば、主要経営資源の一つとされる人的リソースに関する話である。 もう一つはまさしく連想のような感想になるが、組織と細胞の関係やその細胞の修復プロセス、また問題発生時に考えるべき原点、そして「からだ」そのものの進化といった論は、ビジネスモデル全体に置き換えて論じても参考になる内容だと言える。からだ(ビジネスモデル)を構成する細胞(顧客価値、業務プロセス、経営資源、収益構造)の如何によって、長生きなビジネスモデルになるかに大きな影響を与えうるだろう。 |
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