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 Q&A


ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝
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第20回 顧客価値や社員価値とビジネスモデル


 なぜか最近、渡邉幸義氏(アイエスエフネットグループ代表取締役)と、出口治明氏(ライフネット生命保険会長兼任CEO)との出会いが頭から離れない。それぞれ、実に興味深い独特なビジネスモデルだとは分かるが、自分のビジネスモデルに関するフレームワークでいえば、どのような位置づけて理解すべきかと。

 2013年4月11日夕方6時半、「霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部」にて開催された第8回イブニングセッションで、講師の渡邉幸義氏(アイエスエフネットグループ 代表取締役)による講演、「雇用創造革命〜20代雇用(ユニバーサル就労)を目指し」に対し、参加者からの評価は高い。

 2000年、ITサービス企業として創業した同社は、2013年1月現在、グループ2500名の従業員のうち、約35%が「就労困難者」、そのうち約270名が障害をお持ちの方であるという。障害を「個性」と考え、就労環境への配慮、彼らの強みを見つけ、独自の能力開発を行うことで、障害をお持ちの方以外の方にも就労環境を創造していくという、非常に興味深く感心するビジネスモデルと、その根底にある経営の心!が感じさせられた。

  

 一方、2013年2月に聞いた話。たまたま出会った60代と30代の2人が事業パートナーになる。たまたま話した30分によってその後のビジネスモデルの骨格がほぼ決まる。普通は1億円を集めるのも大変なのに、2年間で200億円近く?の起業資金調達が成功。設立してから6年も経たないうちに東証マザーズに上場。そう、これは保険料を半分にし、20代、30代の子育て世代に安心と夢を与えようとする、ライフネット生命保険の「缶ビールビジネスモデル」の数シーンである。

 個人的には、ターゲットの選定や低価格の設定などはHISの創業時代を想起させられるほど解り易かったが、あの30分に至るまでの2人の多彩かつ濃厚な人生経験(人間力)、マニフェストをもって表す同社の経営理念、そして事業を軌道に乗るための多様な工夫に対し深い関心を持つ。60代の起業家、ライフネットの出口社長と、また機会を見て話そうと。

 渡邉氏は社員の一部である障碍者の障害を「個性」と捉えて、一般に言われがちな短所を長所として活かしていくように、心を持って多様な工夫に尽くしている。これにはまず障碍者を含む「社員価値」に対する再認識または再定義から出発しただろう。また、出口氏は20代、30代の子育て世代に「安心」と「夢」を与えようとする「顧客価値」の深層に対する洞察から出発したといえないだろうか。

 言うまでもなく、顧客価値はビジネスモデルを考える際の前提または原点であるが、社員価値はビジネスモデルを構成する経営リソースに属す弾力性の高い部分である。


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