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ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝 | ||
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第10回 ハンドブック『ビジネスモデル・ジェネレーション』 |
2012年2月、『ビジネスモデル・ジェネレーション〜 ビジネスモデル設計書』が発刊された。これはアレックス・オスターワルダー氏とイヴ・ピニュール氏の共著で、小山龍介氏が翻訳された書物であるが、筆者は昨年、「ビジネスモデルの定義及び構造化に関する序説的考察」という拙稿を執筆し始めた時に接した関連文献(洋書名、Business
Model Generation: A Handbook for Visionaries, Game Changers, and Challengers
)の一つである。滅多に見かけない版型を採用した本書は、本棚には並べにくいし、サイズ的に電車等の移動時には読みにくいと言わざるをえないが、ビジネスモデルの構築法に重点を置いた書物としては一読に値する好著の一つと言えよう。 第4回でも触れたように、ビジネスモデルの構築法に論及する文献として、例えば、日本では、HRInstitute著、野口吉昭編『ビジネスモデル構築7つのコンセプト』かんき出版(2000年)、白井宏明『ビジネスモデル創造手法』日科技連出版(2001年)、森雅俊・宗平順己・左川聡『ビジネスモデル設計のためのUML活用』毎日コミュニケーションズ(2006年)があり、米国では、戦略コンサルティング会社、イノサイトの会長であるマーク・ジョンソン氏の著書『ホワイトスペース戦略〜ビジネスモデルの<空白>を狙え〜』が存在する。 『ビジネスモデル・ジェネレーション』は45カ国470人のイノベーターによるビジネスモデルのイノベーション実践ガイドだといい、3Mやエリクソン、デロイトといった一流の企業やコンサルタントが採用しているビジネスモデルの概念は、実践的かつ革新的なテクニックで形作られ、時代遅れの既成概念を捨て去り、価値創成の新しいモデルを掲げたのが本書であるという。ビジネスモデルを9つの要素に分解することで、より深いレベルで顧客、販売チャネル、パートナー、収入の流れ、原価構造などが理解でき、さらに最も一般的なパターンも豊富な事例をもとに詳しく解説している。[ビジネスモデルの理解]→[設計]→[実行]を系統的に学ぶことができる本書は、いわばイノベーションを起すための、「革新的かつ斬新な『ビジネスモデル発生装置』だ」という。 |
そこでいう9つの要素(構築ブロック)とは、@顧客ベース(Customer Segments)、Aモデルの価値 (Value Propositions)、Bチャンネルの選択
(Channels)、C顧客管理 (Customer Relationships)、D収入の源泉 (Revenue Stream)、E主要なリソース
(Key Resources)、F重要活動 (Key Activities)、Gパートナーシップ層の構築 (Key Partnerships)、Hコスト構造
(Cost Structure)である。顧客は最初にあるが、「Customers comprise the heart of any business
model. Without (profitable) customers, no company can survive for long.」すなわち、「いかなるビジネスモデルであろうが、お客さまがその中心に位置する。(利益をもたらす)お客さま無くして、企業が生き残ることはできない。」というコメントには共感するであろろう。 ちなみに、2012年2月に発刊された『ビジネスモデル・ジェネレーション〜 ビジネスモデル設計書』は日本語版であるが、英語版の全文ではなく、その一部を読み、確認したいならば、無料でダウンロードできる(クリック)。Are you an entrepreneurial spirit? Are you constantly thinking about how to create value and build new businesses, or how to improve or transform your organization? Are you trying to find innovative ways of doing business to replace old, outdated ones? を読んで頂き、If you’ve answered “yes” to any of these questions, welcome to our group! と歓迎されたら、中身に入っていく。ちなみに、本書(非PDF)は第1章 Canvas、第2章 Patterns、第3章 Design、第4章 Strtegy、第5章 Prcess 等より構成されている。 多くのビジネス書では、今までの成功事例に対し、「これはこういうモデルです」と解釈を加え分析を行う。しかし、それは後知恵に過ぎず、同じようにやっても、新しいビジネスモデルを作り上げることはできないというのは言うまでもなかろう。一方、本書は、新しいビジネスモデルを生み出すためのツールを示し、実用的なガイド役を務めようとしている。実際はどのような感想を持つことになるのか、いつかどこかで教えて頂きたい。 |
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