科学技術投入及び科学技術インフラは科学技術創新の物理的な基礎であり、科学技術の持続的な発展の重要な前提である。今日の科学技術投入は、将来の国家競争力に対する投資である。改革開放から、我が国の科学技術投入は絶えず増大してきた。しかし、我が国の科学技術事業の大幅な発展と全面的小康社会の建設のための重大ニーズと比較すると、また先進国及び新興工業化国家と比較すると、我が国の科学技術投入の総量と強度には依然として不足がみられ、投入構造は全てが合理的とはなっておらず、科学技術の基礎条件は薄弱である。現在の先進国及び新興工業化国家は、科学技術投入の増加を国家競争力を高める戦略的措置とみなしている。我が国もこうした時代の趨勢に対応することが必要であり、国家の自主創新能力とコア競争力を増強するため、科学技術投入を大幅に増加し、科学技術インフラの建設を強化して、当綱要が提起した重大な任務を完成するために必要な環境を提供する。
1.多元化、多ルートの科学技術投入体系の構築
政府は、科学技術投入における牽引役となることが必要であり、財政の直接投入や、税収優遇等の多種の財政投入の方式を通して、科学技術投入を増加し、社会における科学技術資源の配分を調整する能力を増強することが必要である。国家の財政投入は、市場メカニズムでは解決できない基礎研究、先端技術研究、社会公益研究、重要基盤技術等の公共科学技術活動に主に用いることとし、併せて企業と全社会からの科学技術への投入を促す。中央と各レベルの地方自治体は、《中華人民共和国科学技術進歩法》の要求に従い、年初予算の編成及び補正予算の編成に当たり、法定の増加要求を実現し、科学技術経費の伸び幅(伸び率)が明らかに財政の経常収入の伸び幅より高いことを保証し、徐々にGDPに対する国家の財政性科学技術投入の比率を高める必要がある。国家財力の情況をにらみつつ、本規画の実施に必要となる経費をバランスよく確保し、重大特定プロジェクトの順調な実施を確保する。国家は重大な科学技術インフラの建設に対する投入を引き続き強化して、中央と地方の建設投資の中で重点として支援を与える。政府が科学技術投入を増加すると同時に、企業の科学技術投入における主体的地位を強化する。要するに、多方面の努力を通して、国全体の科学技術投入のGDPに対する比率が年々高まるようにし、2010年までに2%、2020年までに2.5%以上を達成する。
2.資金投入体制の調整及び最適化、科学技術経費の使用効率の向上
基礎研究、先端技術研究、社会公益研究、科学技術インフラ、科学技術普及に対する支援を強化する。科学研究機関(基地)を正常に運営する経費、科学研究プロジェクトの経費、科学技術インフラの経費等の割合を合理的に手配して、基礎研究及び社会公益に関する研究を行う研究機関に対する投資量を安定的に増大させ、科学普及経費を同クラスの財政予算に組み込み、徐々に科学普及への投入レベルを高める。科学研究に対する規則と科学技術作業の特徴に適応する科学技術の経費管理制度を建設、完備し、国家の予算管理規定に従って、財政資金使用に係る規範性、安全性、有効性を高める。国家の科学技術計画管理の公開性、透明性、公正性を高め、財政の科学技術予算の評価体系を段階的に構築し、健全で相応する評価監督管理システムを構築する。
3.科学技術インフラの建設の強化
科学技術インフラは、情報、ネットワーク等の技術の支えのもとで、研究実験基地、大規模科学施設・設備、科学データ・情報、自然科学技術資源等で構成され、効果的な配置と共有を通して、全社会の科学技術創新を支えるシステムとして機能する。科学技術インフラの建設の重点は、次のとおり。
国家研究実験基地。国の重大な戦略ニーズに基づき、新興の先端的かつ学際的な領域及び我が国の特色ある優位領域において、主に国の科学研究機構と研究型大学に委託して、精鋭が集い、高レベルな、学際的な国家実験室及びその他の科学研究実験基地を設立する。国家重点実験室の建設を強化するとともに、その運営と管理のレベルを高めるよう不断に努力する。国家野外科学観測研究ステーションのネットワーク体系を構築する。
大規模科学エンジニアリング施設。科学機器・設備が科学研究に及ぼす影響を重視して、科学機器・設備、検査・測定技術の自主研究開発を強化する。大規模科学エンジニアリング施設を建設する。これは、高性能計算、大規模空気動力研究試験及び極限条件用の科学実験等の大規模科学エンジニアリング又は大型インフラを含む。大規模科学器具、設備、施設の共有と建設を進めて、徐々に全国的な共有のネットワークを形成する。
科学データ•情報のプラットフォーム。近代的情報技術の手段を十分に利用して、科学技術資源の情報化の元となるデジタル科学技術プラットフォームを建設し、科学データと文献資源の共有を促進して、ネットワーク科学研究環境を構築し、全社会に向かってサービスを提供し、科学研究の手段、方式の変革を推進する。
自然科学技術資源のサービスのプラットフォーム。植物、動物の種苗資源、微生物菌種及び人類遺伝資源、並びに実験用材料、標本、鉱石、化石等の自然科学技術の資源の保護及び利用システムを構築する。
国家標準、計量・測定技術体系。高精度で高安定性の計量標準及び標準物質に関するシステム、重点領域における技術標準、検査・測定実験室システム、認証システム及び技術性貿易措置システムを研究し制定する。
4.科学技術インフラの共有システムの構築
効率的な共有制度は、科学技術インフラが有効に機能する鍵であり前提条件である。“統合、共有、完備、向上”の原則によって、国外の成功経験を参考にして、各類の科学技術資源の標準規範を制定し、科学技術資源の共有を促進する政策法規体系を構築する。異なるタイプの科学技術資源の特徴に対応して、柔軟で多様な共有方式を採用し、現在の相互に分断され、閉鎖的で、重複分散した構造を打破する。
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