これまで、「両弾一星」、有人宇宙飛行、ハイブリッド米(交雑水稲)等を代表とする重要プロジェクトが我が国の総合的な国力向上に貢献してきた。米国、欧州、日本、韓国等も、国家競争力の向上のために、重大特定プロジェクトを国家目標として実施している。
本綱要は、重要分野における優先課題を決めると同時に、国の目標に向け、特に重点を置いて、重要な戦略的製品、重要基盤技術又は重要エンジニアリングについて、重大特定プロジェクトとして実施する。全国的な協力ができるという社会主義制度の強みと市場メカニズムの役割を十分に発揮し、ブレークスルーを成し遂げ、科学技術の発展を生産力の飛躍的発展の牽引力とし、国家戦略の空白を埋めることを目指す。重大特定プロジェクトの選定基準:一、経済社会の発展の必要に応えるとともに、重要技術の自主知財権の形成につながり、企業の自主創新能力の向上の推進力となる戦略的な産業であること。二、産業競争力の全体的な向上に強く影響する重要基盤技術であること。三、経済社会発展の重大なボトルネックを解決する課題であること。四、軍民結合、軍民転換を実現し、国家安全保障と総合国力の向上にとって重大な戦略的意義を有する。五、我が国の国情に適合し、国力に見合ったものであること。以上の原則に基づき、ハイテク産業の成長、伝統産業の向上、国民経済発展のネックとなる課題、国民の健康レベルの向上及び国家安全保障等の各分野を対象に、重大特定プロジェクトを選定した。実施に当たっては、国家の発展上のニーズと実施環境の成熟度を勘案しつつ、一つ一つ論証を行う。また、国の戦略的なニーズと発展状況の変化に応じ、プロジェクトの進捗を臨機応変に調整し、段階的に進める。戦略的製品を対象となるプロジェクトは、研究開発と資本投入において企業が主体的役割を十分に発揮するようにし、重要設備の研究開発を企業の技術創新の契機とし、科学技術資源の配分に当たって市場メカニズムを有効に利用し、国家資金は主に重要技術の開発に用いることとする。
重大特定プロジェクトは、国家目標を実現し、重要技術のブレークスルーと資源の集中を達成し、一定期間期間内に重要戦略的製品、重要基盤技術、重要エンジニアリングを完成させるものであり、我が国の科学技術発展にとって、重要課題中の最重要なものである。本「綱要」では、情報、バイオテクノロジー等の戦略的産業分野、エネルギー資源・環境及び国民衛生等の緊急課題、軍民両用技術及び国防技術等他分野にわたる次の16項目を重大特定プロジェクトとして選定する。@重要電子部品、Aハイエンド汎用チップ及び基礎ソフトウェア、B超大規模集積回路製造技術、C次世代ブロードバンド・モバイル通信、DハイグレードNC工作機械及び基盤製造技術、E大型油田、ガス田及び炭層ガスの開発、F大型先進加圧水型炉及び高温ガス冷却炉原子力発電所、G水系汚染の抑制と管理、H遺伝子組換え生物新品種の育成、I重要新薬の開発、Jエイズやウイルス性肝炎等の伝染病の予防・治療、K大型航空機、L高解像度地球観測システム、M有人宇宙飛行及び月面探査事業、等。 |