新中国成立以降、特に改革開放以降、我が国の社会主義現代化建設は驚嘆に値する偉大な業績を得ることができた。同時に、我が国は、現在そしてこれからもまだ長い期間、社会主義の初級段階にあることを冷静に理解する必要がある。全面的小康社会を建設する過程では、歴史上の得難い機会に恵まれることもあれば、また一連の厳しい挑戦に直面することもある。経済成長は過度にエネルギー及び資源の消費に依存しており、環境汚染問題は深刻となっている。経済構造は不合理であり、農業の基礎は貧弱で、ハイテク産業と近代的なサービス業の発展は停滞している。自主創新の能力は弱く、企業の競争力も強くなく、経済効率を更に高める必要がある。雇用問題の解決、分配関係の調整、健康保障の提供、国家安全保障等の面においても、早急に解決を要する困難と問題が多くある。国際的には、我が国は長期にわたり先進国による経済、科学技術等の面における巨大な圧力に直面している。チャンスをしっかり掴み、挑戦を迎えいれるため、我々は多方面における努力を必要としており、全体が発展するように統率し、体制改革を深化させ、民主的な法律を整備し、社会管理を強化すること等が必要である。同時に、我々は如何なる時にも、さらに科学技術の進歩と創新を通じて、生産力を本質的に飛躍させ、経済社会の全体的、調和的、持続可能な発展を推進することが必要である。
科学技術は第一の生産力であり、先進的な生産力を体現したシンボルである。21世紀に入ってから、新たな科学技術革命が急激に進展しており、新しい重大なブレークスルーが生まれており、経済社会の様相は大きく変革を遂げている。情報に関する科学技術が勢い良く進展しており、依然として経済成長を主導する力となっている。生命科学とバイオテクノロジーは急激に発展し、人間の生活の質を高めることに重要な作用を発揮している。エネルギーに関する科学技術は再びブームとなり、世界的なエネルギー環境の問題を解決する新しい道を切り開きつつある。ナノに関する科学技術はブレークスルーを次々と達成し、本質的な技術革命をもたらしている。基礎研究での重大なブレークスルーは技術と経済の発展に新たな将来性をもたらしている。科学技術の実用化の速度は不断に加速しており、新たなチャレンジと飛躍の機会をもたらしている。このため、我々は時代の先端に立って、世界的な観点から、新科学技術革命によってもたらされるチャンスと挑戦を迎えいれることが必要である。地球上を見渡すと、多くの国家は科学技術の創新を強化することを国家戦略としており、科学技術に戦略的な投資を行っている。科学技術への投入を大幅に増加し、ハイテクと戦略産業を育成し発展させ、重大な科学技術計画を実施し、国家の創新能力と国際競争力の強化に力を入れている。このような新たな国際的な情勢に対し、我々は強い責任感と緊迫感を持って、科学技術の進歩が経済社会の発展の最重要な推進力であることについての自覚と信念を確固たるものとし、自主創造能力を高めることによって経済構造を調整し、成長方式を変革し、国家競争力の源泉を高めて、創新型国家の建設を今後の重大な戦略として選択することが必要である。
新中国成立後50数年になるが、この間の数世代に渡る苦難の奮闘を通じて、我が国の科学技術事業は鼓舞できるほどの大きな成就を達成した。「両弾一星」(注:原爆、水爆、衛星。水爆の代わりにミサイルとする説もある。)、有人宇宙飛行、交雑水稲、陸相成油理論と応用、高性能コンピュータ等を初めとする多くの重大な科学技術の成就を通じて、我が国の総合的国力は大きく増強され、我が国の国際的地位を高め、我々の民族精神を奮い立たせた。しかし、同時に、我が国の科学技術全体のレベルは、先進国と比較してまだ大きな差があることをも認識する必要がある。キーテクノロジーに関する自主開発の割合は低く、発明特許が少ない。いくつかの地域、特に中西部の農村において、技術レベルは依然として立ち後れている。科学の研究の質はあまり高くなく、抜き出た人材が不足している。また、科学技術への投入が不足しており、体制上の欠陥が多く存在している。現在、我が国は経済大国ではあるが、未だ経済強国とは言えない。その根本的な原因は、創新能力が薄弱であることにある。
21世紀において、我が国は発展中の大国であり、科学技術の発展を加速し、先進国との差を縮小する必要があり、引き続き比較的に長い時期にわたる厳しい努力が必要であるが、同時に多くの有利な条件も持っている。1、我が国の経済の持続的な高度成長と社会の進歩は、科学技術の発展に対する大きなニーズを生んでおり、科学技術の発展の堅固な基礎となっている。2、我が国では、既に整った学科体系を作り上げており、また豊富な人材資源を持っており、一部の重要領域における研究開発能力は既に世界のトップレベルに達しており、科学技術の発展に対する基礎と能力を備えている。3、対外開放を堅持しながら、日に日に活発化する科学技術分野における国際的な交流と協力を通じて、新しい科学技術革命の成果を共有することができる。4、社会主義の制度を堅持し、重要事業に集中力を発揮する政治的な優位と資源の効率的な配分を可能とする市場メカニズムとを結合することにより、科学技術事業が繁栄・発展するため重要な制度上の保証を提供することができる。5、中華民族は5000年の文明史を持っており、中華文化は学識が広く、深くかつ寛容であり、更に独特な創新の文化を形成することができる。我々は民族の自信心を強め、科学的発展観を徹底的に実行し、科教興国(注:科学技術の進歩と教育(労働者の素質向上)によって国の振興を図る)戦略と人材強国戦略を実施して、奮い立って追いかけ、先頭に追いつく努力をし、15年又は更に長い時間どこまでも耐え抜く刻苦奮闘をすれば、必ず時代に恥じない光り輝く科学技術の業績を創造することができるだろう。 |